Black Sabbath - Loner

ブラック・サバス19枚目のアルバム「13」(13) から " Loner " を私訳。このアルバムはオリジナル・メンバーの3人が35年ぶりに揃ったことで話題となったアルバムですが、音よりも彼等独特の歌詞が復帰を物語っているのが嬉しかった。

特にオジー・オズボーンがいた頃のブラック・サバスの歌詞にあって彼不在時の歌詞になかったものは現実の重さと冷酷さ。これは彼が活動を共にするからといって当時のままに描かれるハズもなく、年相応の表現を感じさせてくれたのも嬉しい。

それだけに「復活＝集金行為」ではなく、彼等の歴史の新たなる1ページとして刻まれるものだし、プロデューサー、リック・ルービン　の手腕に負うところも多いと思えた。このアルバムに於ける彼の功績は彼等が初期の頃に持っていた音の再現だけではなく、彼等が彼等で在り続けた歌詞の物語性に至るまで落とし込むのに成功していることからも明白。

ただ惜しまれてならないのはビル・ワードが参加しなかったことと、ジャケットがヒプノシス　の手によるものではないということ。仕方ないのかな･･･。

" Loner "

He's just a loner.
彼は一匹狼の男
He never says hello.
愛想を口にすることはない
A friend to no one.
だから話し相手もいなければ
He's got no place to go.
身を寄せる場所もない

He don't look happy.
彼は幸せには見えない
He look through furtive eyes.
そればかりか密かに顔色を窺ったところで
He ain't got nothing.
何も持たざる彼に
No one to sympathize.
同情する者など一人もいない

He hides himself away.
彼は隠れることで自身から目を背け
His secrets not revealed.
己の暗部を覗くことはなかった
As life just passes by he keeps himself concealed.
長きに渡る人生の中で彼は自分を欺き続けてきたのだ

A solitary man.
孤独なる男
An enigmatic child.
得体の知れない子供
A riddle never solved.
解かれることのない謎
A prisoner exiled.
追放された囚われ人

I wonder if the loner can assimilate.
一匹狼が群れの中で生きていけるものだろうか
A life less lived alone plays devil's advocate.
その残り少ない人生を狂信者としてひとりで演じきるしかないのか

Has he ever tried to be happy ?
彼は幸せになろうとしたことがあったのか？
Reached out from inside.
自らを省みれば自ずと分かっただろう
Someone on who he can depend.
どこかの誰かに頼ることも出来たハズだ
It's getting to late to recover.
だが、やり直すにはもう遅い
He won't stand a chance and into his own hell he'll descend.
可能性が絶たれた彼は自身の地獄へと堕ちてゆくことになる

No understanding of things we already know.
彼には理解することができない、私達が当たり前のように知っていることを
He has to live his life and just learn how to let go.
学ぶべきだったのだ、人生で何かを得るには何かを捨てなければならないことを

Communication's an impossibility.
今更、向き合ったところで理解を得る事は叶わない
His own best friend but he's his own worst enemy.
彼を諌めるべき親友は、自身にとって最悪の敵で在り続け
The secrets of his past locked deep inside his head.
過去の秘密は彼の頭の中深くで鍵を掛けられることとなったのだから
I wonder if he will be happy when he's dead.
私は思うのだ、彼が幸せになれるとしたら死んだときくらいなものだと