Eva Cassidy - Biography
Eva Cassidy - Live at Blues Alley - 1996
1. cheek to cheek 2. stormy monday 3. bridge over troubled water 4. fine and mellow 5. people get ready 6. blue skies 7. tall trees in georgia 8. fields of gold 9. autumn leaves 10. honeysuckle rose 11. take me to the river 12. what a wonderful world 13. oh, had i a golden thread
これを書いている2011年、残念ながら彼女のアルバムの国内盤は未だに発売されておらず情報も少ないので簡単なバイオグラフィーを書いてみました。幾つかの海外サイトを参考にしたので解釈の間違い等々あれば、教えていただけると嬉しいです。
エヴァ・キャシディ、彼女は1963年の2月に生まれる。ミュージシャンであり彫刻家でもあった父を持つ彼女は、幼い頃から音楽に興味を持ち始め、それを知った父親は彼女が9歳の頃からギターを教え始めました。彼女は父親に手をとられながらギターを弾くことの中に喜びを見出し、ファミリー・パーティーの時にはよく歌ったそうです。
11歳になると彼女は夏休みに兄と一緒にバンドを組み、ギターを担当しました。彼等の活動する場所は結婚式やスピーチ、パブ等々場所を選ばずいろんなスタイルで演奏しましたが、内気な性格であった彼女は人前で歌うことよりもバックコーラスを好みました。
80 年代になると彼女は植物園で働きながら絵画や彫刻を楽しみ、音楽からは少し距離を置いていましたが、86年になると彼女の高校時代の友人がやっていたバンドのデモテープ録り(アルバム「method actor」)にボーカルとして参加して欲しいと頼まれ、承諾します。彼女はクリス・ビオンドのレコーディング・スタジオを訪れました。目の前で歌うエヴァの歌声に感動したクリスは、ソロシンガーとしてのレコーディングを彼女に勧め、アル・デイルという人物を紹介します。
やがてクリスのスタジオで彼女の歌を聴いたアル・デイルは、彼女のマネージャーを自ら買って出ました。クリスやアルの強い勧めでエヴァは90年にバンドを結成し、ワシントン市内でライブ活動を開始。彼女の歌声が地元で話題になるのに時間は掛かりませんでした。
連日彼女が出演する blues alley にはその評判を聞いてレコード会社のエージェントが訪れますが、そのあまりにも幅広い彼女のレパートリーに頭を悩ませました。結果、彼等はレパートリーを整理することを彼女に薦めます。しかし彼女は好きな歌を好きなように歌いたかった為、彼等の申し出を断りました。それらの経験から彼女とその友達は自主制作でアルバムをリリースしようとします。
やがてその内容は blues alley で二日間に渡り録音されますが彼女はその時の自分の声に満足できなかった為、このアルバムのリリースを喜びませんでした。
しかし友達とよく話し合った結果、もう一枚スタジオ・アルバムを作る(後の「 eva by heart 」)という形で合意に至ります。やがてアルバム「 live at blues alley 」(1996年1月収録)がリリース。そのアルバムはワシントンで発売され、当然のように話題になりました。
1996年7月。blues alley で開かれたアルバムのプロモーション活動にエヴァは杖をついてきました。以前(93年)にも彼女は背中にあった悪性のホクロを取り除いてもらっていましたが、その小さなホクロから始まった皮膚癌は既に肺と骨にまで転移していました。彼女はもう身体の痛みのせいで杖なしでは歩けなくなっていたのです。それまでにも彼女は身体の痛みを感じていましたが庭仕事や絵を描いている時の疲れから来る疲労だと思い込み、病院には行きませんでした。
しかし、余りにも痛みが続くので病院に行ってみると、既に癌が彼女の全身に広がっており、その時の告知からわずか4カ月後の11月、エヴァ・キャシディは家族に見守られながらこの世を去りました。 33歳でした。
1997年の9月23日。スタジオ・アルバム「 eva by heart 」が家族達の手によって発売。このアルバムを聴いて感動したイギリスのラジオ局のDJが彼女の曲を自局で流すと、リスナーから「これを歌っているエヴァというのはどこの誰なんだ?」という反応が殺到。そしてそれを聴いたスティングが彼女の「 fields of gold 」を絶賛したこともあってイギリスで大ヒットを記録。誰も知らない無名の歌手がチャートを駆け抜けた・・・。
以上、簡単ではありますが、彼女と彼女が生前に出したアルバム「 live at blues alley 」の物語です。
「 live at blues alley 」収録曲
01. cheek to cheek ( irving berlin )
02. stormy monday ( t-bone walker )
03. bridge over troubled water ( paul simon )
04. fine and mellow ( billie holiday )
05. people get ready ( curtis mayfield )
06. blue skies ( berlin )
07. tall trees in georgia ( buffy sainte-marie )
08. fields of gold ( sting )
09. autumn leaves ( joseph kosma )
10. honeysuckle rose ( andy razaf )
11. take me to the river ( al green )
12. what a wonderful world ( bob thiele )
13. oh, had i a golden thread ( pete seeger )
曲名を見れば分かるように、このアルバム「 live at blues alley 」は、カバー曲集です。そしてその彼女の選んだ曲のジャンルは多岐に渡り、ブルーズ、ソウル、ジャズ等々、正にボーダレスというのが相応しい内容になっています。
誰かの曲をカバーする時の難しさはその原曲をいかに自分なりに解釈し表現するかというところにあると思うのですが、彼女がカバーすると最初から「彼女のオリジナルじゃないの?」と思えるくらいにその響きは自然で美しい。
おまけにこのアルバムの音源はライブ録音なのに彼女の安定した歌唱力とキレの良さに驚きます。力強い曲はより力強く、優しい曲は限りなくやわらかく表現できるそのスタイルは、ジャンルに捕らわれずに好きな歌を自分のスタイルで歌い続けてきた賜物でしょう。特に「 fields of gold 」などで聴ける中域から高音域に掛けてのトーンはすごい透明度を持っています。
でもね、このアルバムで彼女が選曲した曲達って「今居るところから去っていく」「生まれ変わる」というような内容のものが多い。だから聴いてると彼女は自分がもうすぐ居なくなるから親愛なる人達への最後の挨拶として歌っているようにも思え、少しセンチな気持ちになってしまいます。
関連記事
リンク
2011/03/03 1990 E Eva Cassidy