Alison Moyet - Almost Blue
アリソン・モイエの「 Voice 」(04)から " Almost Blue " を私訳。この曲のオリジナルはエルビス・コステロが1982年にリリースした「 Imperial Bedroom 」に収録されています。以降、この楽曲は多くのミュージシャンによって歌われますが、このアリソン・モイエのバージョンが素晴らしい。彼女は80年代にヤズーというバンドで活動し、その後ソロに転向しますがプライベートな事情で引退。やがて復活しますが、このアルバムを聞く限り、彼女は紛れも無い現役の歌手で過去をもって評価されるような人には思えないし、このアルバムまでの彼女の作品は彼女の「暗さ」を生かしきれていない作品ばかりのような気がします。
今作の収録曲を見るとガーシュインにバカラック、コステロ等々カバー・ソング集になっていますけど、プロデューサーのアン・ダドリーのアレンジと選曲のお陰で、彼女の持つ良い意味での「暗さ」を出すことにも成功していると思います。それだけにアルバムタイトルの「 Voice 」、これを掲げるだけの自信が両者にはあったのだろうし、このタイトルはなかなか付けたくても付けることが出来ないタイトルだと思いますよ。特に " Almost Blue " 、これにホーンを導入したことは大成功でしょう。好みの違いはあれど、エルビス・コステロが歌うどこか投げやりな感じやダイアナ・クラール、チェット・ベイカーのバージョンとは、一線を引いた仕上がりになっています。
昔、美空ひばりが亡くなった時、ある医者が「どうして彼女はあんなに上手かったのか?」というので論文か何かを発表しているのを目にしたことがあって、そこに書かれていたことは「彼女の上手さは声量やセンス云々とは別に、顔の骨格と歯並びにある」というものでした。もっと細かく書けば「顎の骨が異様に大きく、それがかなり影響していた」ということに言及されていたように思います。
そうやって過去のシンガーで上手いと評される人を考えていくと、個人的には納得のいく「ひとつの考え方」だと思いました。アリソン・モイエ、そんな彼女も結構顎の骨が発達しており、角度によっては折角の美しい容貌が台無しに見える時がある。だけどアルバムを再生するとそんなことはどうでもよくなる。なんの賞を獲ったとか、流行っているとか関係なく、ただうまい歌を聴きたければ「彼女のこのアルバムを聴かないのは、あり得ない選択だ」と言っても過言ではないと思います。また、彼女のベスト盤を買うくらいなら、このアルバムのボーナス・トラック付き (バカラックのアルフィーが入ってます) をオススメ。
Almost blue
ほとんど青い
Almost doing things we used to do
僕達が以前していたのと ほとんど同じことをしている
There's a girl here and she's almost you
そこにいる女の子、彼女はほとんど君だよ
Almost all the things that your eyes once promised
君の目がかつて約束していた、ほとんど全てのものを
I see in hers too
僕は彼女の中にも見る
Now your eyes are red from crying
今、君の眼は泣いて赤くなっている
Almost blue
ほとんど青い
Flirting with this disaster became me
面白半分に手を出すと、不運に見舞われる
It named me as the fool who only aimed to be
そう、僕は分かってて馬鹿と呼ばれることをしたんだ
Almost blue
ほとんど青い
It's almost touching it will almost do
あともう少しで触れることが出来たのに
There's a part of me that's always true...always
ここにある欠片、そのどれもが本当の僕なんだ...いつまでも
Not all good things come to an end now it is only a chosen few
でもすべての恋が終わるわけではなく、選ばれたほんの一握りだけ
I've seen such an unhappy couple
僕はそんな不幸なカップルを見かけた
Almost blue
ほとんど青い
Not all good things come to an end now it is only a chosen few
すべての恋が終わるわけではなく、選ばれたほんの一握りだけ
I've seen such an unhappy couple
僕はそんな不幸なカップルを見かけた
Almost me
それは、ほとんど僕で
Almost you
ほとんど君
Almost blue
そして、ほとんど青い
リンク
2011/05/17 2000 A Alison Moyet