Johnny Cash - The Man Comes Around
「American IV: The Man Comes Around」(02) から " The Man Comes Around " を私訳。この曲は多くの映画で使われているので聴いたことのある人も多いと思います。歌詞は聖書の「ヨハネの黙示録」「マタイによる福音書」をベースとしてジョニー・キャッシュ自身の手で書かれ、内容は「黙示録の到来」「神の裁き」というものですが、「救い」も書かれているように感じました。
今回のアルバム「American IV: The Man Comes Around」(02) は、全6枚からなる「American ~」シリーズの中の1枚なのですが、そのどれもがよく出来たアルバムなのでオススメです。プロデューサーがリック・ルービンなのも◎。歌詞の解説は和訳末尾にて。
And I heard as it were the noise of thunder
私は聞いたのだ、雷鳴のような音を
One of the four beasts saying come and see
4頭の獣のうちの1頭が言った「此処に来て見よ」
And I saw
そして私は見たのだ
And behold a white horse
紛うことなき、白き馬を
There's a man going around taking names
その男はうろつき回っては名前を書き留めている
And he decides who to free and who to blame
誰を救うべきか、誰を咎めるべきか、決めているのだ
Everybody won't be treated all the same
誰も彼もが同じに扱われるというわけではない
There'll be a golden ladder reaching down
どこからともなく金色の梯子が下りてきたとき
When the Man comes around
その男がやって来る
The hairs on your arm will stand up
お前の腕の毛は逆立つことになるだろう
At the terror in each sip and in each sup
何を食べても、何を飲んでも、去らない恐怖に
Will you partake of that last offered cup?
お前は最後の杯を分かち合えるのか?
Or disappear into the potter's ground
それとも陶器職人の畑でその姿を消すのか
When the Man comes around
その男がやって来るとき、思い知る
Hear the trumpets, hear the pipers
トランペットや笛の音色
One hundred million angels singing
1億もの天使達の合唱が鳴り響く中を
Multitudes are marching to the big kettledrum
大きな太鼓に導かれるように大勢の者が行進してゆく
Voices calling, voices crying
叫んでいる声、泣いている声
Some are born and some are dying
生まれくる者もいれば死にゆく者もいる
It's Alpha and Omega's kingdom come
それが最初にして最後の世界の終末なのだ
And the whirlwind is in the thorn tree
そして旋風が棘のある木々の間を駆け抜ける
The virgins are all trimming their wicks
処女達はローソクの手入れに余念がない
The whirlwind is in the thorn tree
旋風が棘のある木々の間を駆け抜ける
It's hard for thee to kick against the pricks
それに耐えるのは難しく、足掻いたところで無駄なこと
Till Armageddon no shalam, no shalom
アルマゲドンの到来まで団結することもなければ平和もない
Then the father hen will call his chickens home
その時になると親鳥に巣に呼び戻された雛鳥のように
The wise man will bow down before the throne
賢者は王座の前に平伏すことになるだろう
And at His feet they'll cast their golden crowns
そして彼は自らの足元に被っていた金の冠を置く事になる
When the Man comes around
その男がやって来たときに
Whoever is unjust let him be unjust still
不正である者は、不正な者として
Whoever is righteous let him be righteous still
正当である者は、正当な者として
Whoever is filthy let him be filthy still
淫らである者は、淫らな者として
Listen to the words long written down
長きにわたって書き留められた言葉を聞くことになる
When the Man comes around
その男がやって来たときに
Hear the trumpets, hear the pipers
トランペットや笛の音色
One hundred million angels singing
1億もの天使達の合唱が鳴り響く中を
Multitudes are marching to the big kettledrum
大きな太鼓に導かれるように大勢の者が行進してゆく
Voices calling and voices crying
叫んでいる声、泣いている声
Some are born and some are dying
生まれくる者もいれば死にゆく者もいる
It's Alpha and Omega's kingdom come
それが最初にして最後の世界の終末なのだ
And the whirlwind is in the thorn tree
そして旋風が棘のある木々の間を駆け抜ける
The virgins are all trimming their wicks
処女達はローソクの手入れに余念がない
The whirlwind is in the thorn tree
旋風が棘のある木々の間を駆け抜ける
It's hard for thee to kick against the pricks
それに耐えるのは難しく、足掻いたところで無駄なこと
In measured hundred weight and penney pound
多くの事柄が秤に載せられ、慎重に検討されることになる
When the Man comes around.
その男がやって来たときには
And I heard a voice in the midst of the four beasts
4頭の獣の間にいた1頭が雷鳴のような声を上げるのを聞いた
And I looked and behold, a pale horse
私は目を見張った、そこに青白き馬がいたからだ
And his name that sat on him was Death
馬に乗りし者の名は「死」
And Hell followed with him.
彼は後ろに地獄を従えていた
私訳の解説
「ヨハネの黙示録第6章 」 には「黙示録の4騎士」が記述されていますが、ここでは " The Man Comes Around " に出てくる2頭の馬「第一の騎士=白き馬」「第四の騎士=青白き馬」について、wiki から抜粋転載しています。
■冒頭に出てくる「白い馬」
「第一の騎士」と呼ばれているもので「ヨハネの黙示録」第6章第2節に記される、第一の封印が解かれた時に現れる騎士。白い馬に乗り、手には弓を、また頭に冠を被っている。勝利の上の勝利(支配)を得る役目を担っているとされる。
■最後に出てくる「青白き馬」
これは「第四の騎士」と呼ばれているもので「ヨハネの黙示録」第6章第8節に記される、第四の封印が解かれた時に現れる騎士。青白い馬(蒼ざめた馬)に乗った「死」で、側に黄泉(ハデス)を連れている。疫病や野獣をもちいて、地上の人間を死に至らしめる役目を担っているとされる。
■ " When the Man comes around "
ここの " the Man " は恐らくイエス・キリストを指していて、そのまま訳すと「神が光臨されるとき」。私訳では「その男がやってくるとき」としています。
■ " the potter's ground "
「陶器職人の畑 / 血の畑」と呼ばれる、不浄のお金で買われた土地。
参照・マタイによる福音書第27章3節から8節
■ " kick against the pricks "
成句「むだな抵抗をしてばかを見る」
由来は聖書の言葉「牛が怒って突き棒をける」の意
■ " Till Armageddon no shalam, no shalom "
" shalam " "shalom " は、アラビア語で「完全、全体」「平和」を意味していて、私訳では「アルマゲドンの到来まで団結することもなければ平和もない」。
■ " The virgins are all trimming their wicks "
この部分は「マタイによる福音書25:1-25:13 」 からの抜粋だと思われます。この話の中では10人の処女が出てきて、そのうちの5人は愚かで5人は賢明でした。そして「マタイによる福音書」では「愚かな5人の末路」が書かれていますが、ジョニー・キャッシュの歌詞では「賢明な5人の行い」が記述されています。推測になりますが、恐らくジョニー・キャッシュはこの部分を「救い」若しくは「再生」として書いたのではないかと思いました。
" Personal Jesus "
オリジナルは Depeche Mode 「Violator」 (90)
" Like The 309 "
「American V: A Hundred Highways」(06)
オリジナルは Depeche Mode 「Violator」 (90)
「American V: A Hundred Highways」(06)
関連記事
リンク
2013/11/23 2000 J Johnny Cash